労働基準法における適用事業・適用除外について

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労働基準法における適用事業について

労働基準法別表第1に業種の区分が掲げられていますが、こちらはあくまで労働時間等の一部の規定についての「適用上の区分」になります。そのため、原則、業として継続的に行われ、1人でも労働者を使用している事業であれば、すべて労働基準法が適用されることになります。

また、適用事業所に該当する段階になった場合は適用事業報告を提出する必要があります。
適用事業報告の様式は以下をご参考にしてください。

参考;東京労働局 様式集

●労働基準法別表第1

なお、日本の法令は日本国内にある事業のみに適用されます。(属地主義)

そのため、国外にある日本の支店、出張所等のように事業として実態を国外に備えている場合には、労働基準法は適用されません。ただし、例えば、日本国内の土木建設事業が国外で作業を行う場合等で、一切の工事が日本の業者の責任で行われるものであって、国外での作業場が独立した事業の実態がないと認められる場合には、その国外での作業も含めて労働基準法の適用があると解されます。

日本国内にある外国人の経営する会社や外国人労働者にも、日本と変わりなく、原則として労働基準法の適用がされます。

適用事業の単位について

事業とは、業として継続的に行われているものであり、工場、事務所及び店舗等、1つ独立の事業を単位とすることが原則となります。

必ずしも経営上一体をなす支店、工場及び店舗等を総合した全事業を指すものではなく、一の事業であるか否かは場所的観念によって決定すべきとされています。そのため、同一の場所にあるものは原則として分割することなく1個の事業とされ、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とされます。(平成11年3月31日基発168号)

適用事業の単位の例外について

同一の場所であっても、労働の態様が著しく異なる部門であって、その部門が主たる部門との関連において従事する労働者、労務管理等が明確に区分され、かつ、主たる部分と切り離して労働基準法の適用されることが適当である場合は、その部門は別個の事業とされます。

例えば、工場内の食堂、診療所等が該当します。

逆に、場所的に分散している事業であっても、出張所、支所等で規模が非常に小さく、独立性のないものは、直近上位の機構と一括して一つの事業とされます。

例えば、新聞社の通信部等が該当します。

適用事業の報告・届け出

●1つの事業の事業所が2つ以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合

1つの事業の事業場が2つ以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合は、それぞれの管轄区域のある事業場に関する事項については、それぞれの労働基準監督署に報告・届け出を提出します。
また、それぞれの事業場に共通の事項についても、それぞれの労働基準監督に対して共通のものを提出します。

●同じ労働基準監督署の管轄区域内に複数の事業場がある場合

1つの事業において、同一の労働基準監督署の管轄区域内に2以上の事業場がある場合は、各事業場にかかる労働基準法に基づく報告・届け出については、組織上、上位の使用者が取りまとめて行うことができます。

労働基準法の適用除外について

第116条 (適用除外)
第1条から第11条まで、次項、第117条から第119条まで及び第121条の規定を除き、この法律は、船員法(昭和22年法律第100号)第1条第1項に規定する船員については、適用しない。
2 この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

次の者又は事業には労基法の一部あるいは全部が適用されません。

① 船員法第1条第1項に規定する船員(労働基準法第116条第1項)

船員には、労基法の特別法たる船員法が適用されます。ただし、労基法の原則や定義を定めた総則や罰則を定めた規定等は適用されます。

② 同居の親族のみを使用する事業(労働基準法第116条第2項)

1.親族とは、民法第725条にいう、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいます。

2.同居とは、同一の家屋に住んでいるということだけではなく、実質的に世帯たる実態があるか否か、すなわち居住及び生計を一にしているか否かで判断されます。

3.他人を一人でも雇用すれば、労基法が適用されます。その場合、同居の親族であっても、就労実態が他の労働者と同様であれば、労働者と解されることがあります(昭和54年4月2日基発153号)。

③ 家事使用人(労働基準法第116条2項)

家事使用人であるか否かは、従事する作業の種類・性質の如何等を勘案して具体的に当該労働者の就業実態により決定されます。

1.法人に雇われたが、その役職員の家庭で家事一般に従事している者は家事使用人に当たります(S63.3.14基発150・婦発47)。

2.個人家庭の家事を請け負う者に雇われて、その指揮命令の下で家事に従事する者は家事使用人には当たりません。(この場合、労働基準法は適用されます。)

3.個人開業医の見習い看護婦、旅館の女性従業員、個人事業の見習い・内弟子などが「家事に従事する」あるいは「事業を手伝う」などの場合は、「どちらが本来の業務か」によって判断されます(S24.04.13基収886)。

④ 一般職(特定独立行政法人の職員を除く。)、特別職(裁判所職員(裁判官及び裁判官の秘書官を除く。)・国会職員・防衛省の職員)の国家公務員

労働基準法の適用はありません(労働基準法第112条、昭和63年3年14日基発150号・婦発47号、平成25年6年13日基発0613第1号)。

⑤ 一般職の地方公務員

 労基法の一部規定についての適用除外があります(同上)。

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この記事を書いた人

人事系コンサルで頑張っている者です。
毎日全力で突っ走ってます!!

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