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労働基準法第11条 賃金

人事労務
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条文

第10条 (賃金)
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

「賃金」とは

本条から、

① 使用者が労働者に支払うもの
② 労働の対償であるもの

の2つの要件を満たすものは、その名称を問わず、労働基準法における賃金に該当します。
なお、労働の対償とは、使用者が労働者に支払うもののうち、労働者が使用者の指揮命令下で行う労働に対して、その対価として支払うものをいいます。

賃金とならないものについて

昭和22年9月13日発基17号における通達では、「賃金」及び「賃金にならないもの」について、以下の通りにしています。

法第一一条関係

(一) 労働者に支給される物又は利益にして、次の各号の一に該当するものは、賃金とみなすこと。
(1) 所定貨幣賃金の代りに支給するもの、即ちその支給により貨幣賃金の減額を伴うもの。
(2) 労働契約において、予め貨幣賃金の外にその支給が約束されているもの。

(二) 右に掲げるものであつても、次の各号の一に該当するものは、賃金とみなさないこと。
(1) 代金を徴収するもの、但しその代金が甚だしく低額なものはこの限りでない。
(2) 労働者の厚生福利施設とみなされるもの。

(三) 退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなさないこと。但し退職金、結婚手当等であって労働協約、就業規則、労働契約等によって予め支給条件の明確なものはこの限りでないこと。

この通達を踏まえると、以下の①~③の性質があるものについては、賃金に該当しないと考えられます。

① 企業設備、業務費用的なもの ・・・例えば、制服、作業服、作業用品代等
② 福利厚生的なもの ・・・例えば、住宅の貸与、食事の供与、資金貸付等
③ 任意的、恩恵的なもの ・・・例えば、退職金、結婚祝金、病気見舞金、死亡弔慰金等

恩恵的なものに関わらず賃金に該当する場合

恩恵的なものであっても、就業規則、労働契約及び労働協約等であらかじめ支給条件が明確に定められている場合は、賃金となります。

具体的な例示

所得税・社会保険料の使用者負担分

使用者が、労働者の負担すべき所得税・社会保険料の本人負担分を負担する場合には、その負担分については賃金になります

通勤定期

労働協約に基づき、使用者が通勤手当の代わりとして、6か月ごとに通勤定期券を購入し、これを労働者に支給している場合はその通勤定期券は賃金となります

●通勤手当は、支給することが就業規則等で定められている場合、労働基準法の賃金として扱われます。定期代を実費で支給している場合も現物供与している場合もこの点も同様になります。ただし、定期券で現物支給するには、労働組合と締結する労働協約にてその定めをする必要があります。

住宅の貸与

住宅の貸与は原則として福利厚生になります。ただし、住宅貸与されない者全員に対して(住宅)均衡手当を支給している場合は、貸与の利益が賃金となる場合があります

ストックオプション制度

オプション保有者たる労働者が権利の行使について任意になります。したがって、ストップオプション制度から得られる利益については、発生する時期及び金額は労働者の判断に委ねられます。そのため労働の対償ではなく、賃金には該当しません

客から受け取るチップ

旅館の従業員等が客から直接受け取るチップ等は使用者が直接支払うものではありません。そのため、賃金には該当しません

解雇予告手当(第20条)

解雇予告手当は、使用者が労働者を解雇する場合に、再就職などの準備を保障するために支給するものと考えられます。そのため、労働の対償として支給されるものではなく、賃金に該当しません

休業補償(第76条)

休業補償は、身体損害に対して保障的な手当として取り扱われます。そのため、労働の対償として支給されるものではなく、賃金に該当しません。なお、休業補償の額は、少なくとも平均賃金の100分の60を支給すべきとされていますが、平均賃金の100分の60を上回る制度を設けている場合であっても、その全額が休業補償となり、賃金になりません。(昭和25年12月27日 基収3432号)

●休業手当(第26条)について
休業手当は会社都合による賃金補償として平均賃金の6割以上を支給しなければならないとされているものになります。労働基準法上では、「賃金」の章に第26条として定められていますので、休業補償(76条)とは異なり、賃金としての取扱いが必要です。

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