総資産(総資本)回転率について
総資産(総資本)回転率とは、企業が保有する総資産(総資本)が、どれだけ効率的に売上高を生み出したかを表す指標です。
総資産(総資本)回転率 = 売上高 ÷ 総資産(総資本)
単位は「回転数」で表され、数値が大きいほど、総資産(総資本)を効率的に活用できていることになります。総資産(総資本)回転率が高いということは、同じ総資産(総資本)でより多くの売上高を上げることができたということになります。そのため、総資産(総資本)回転率が高い企業は、総資産(総資本)を有効に活用して、利益を上げていると言えます。
総資産(総資本)回転率は、業種によっても異なります。例えば、製造業は設備投資が大きいため、総資産(総資本)回転率が低くなりがちです。一方、小売業やサービス業は設備投資が少なく、総資産(総資本)回転率が高くなりやすい傾向があります。
総資産(総資本)回転率を改善するためには、以下のような取り組みが挙げられます。
- 売上高を増やす
- 総資産(総資本)を減らす
売上高を増やすには、新規顧客の獲得や既存顧客の売上アップなどが考えられます。総資産(総資本)を減らすには、設備投資の抑制や在庫の削減などが考えられます。
以下に、総資産(総資本)回転率を改善するための具体的な取り組み例をご紹介します。
- 売上高を増やすための取り組み
- 新規顧客の獲得:広告宣伝の強化、営業活動の拡大
- 既存顧客の売上アップ:顧客管理の強化、リピート率の向上
- 総資産(総資本)を減らすための取り組み
- 設備投資の抑制:リースやレンタルの活用、中古設備の導入
- 在庫の削減:需要予測の精度向上、在庫回転率の改善
これらの取り組みを実施することで、総資産(総資本)回転率を向上させ、企業の経営効率を改善することができます。
売上債権回転率、棚卸資産回転率、固定資産回転率について
以下に、売上債権回転率、棚卸資産回転率、固定資産回転率について説明します。
売上債権回転率
売上債権回転率とは、売上債権がどれだけ効率的に回収されているかを表す指標です。
売上債権回転率 = 売上高 ÷ 売上債権
単位は「回転数」で表され、数値が大きいほど、売上債権を効率的に回収できていることになります。売上債権回転率が高いということは、売上債権が短期間で回収されているということになります。そのため、売上債権回転率が高い企業は、資金繰りが良好であると言えます。
売上債権回転率は、業種によっても異なります。例えば、小売業は売上債権の回収期間が短いため、売上債権回転率が高くなりやすい傾向があります。一方、製造業は売上債権の回収期間が長いため、売上債権回転率が低くなりがちです。
売上債権回転率を改善するためには、以下のような取り組みが挙げられます。
- 売掛金の回収期間を短くする
- 売掛金の割引率を下げる
- 売掛金の与信管理を強化する
棚卸資産回転率
棚卸資産回転率とは、棚卸資産がどれだけ効率的に売上高を生み出しているかを表す指標です。
棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 棚卸資産
単位は「回転数」で表され、数値が大きいほど、棚卸資産を効率的に活用できていることになります。棚卸資産回転率が高いということは、棚卸資産が短期間で売れているということになります。そのため、棚卸資産回転率が高い企業は、在庫を有効に活用して、利益を上げていると言えます。
棚卸資産回転率は、業種によっても異なります。例えば、小売業は商品の回転率が高いため、棚卸資産回転率が高くなりやすい傾向があります。一方、製造業は商品の回転率が低いため、棚卸資産回転率が低くなりがちです。
棚卸資産回転率を改善するためには、以下のような取り組みが挙げられます。
- 需要予測の精度を上げる
- 在庫管理を強化する
- 不良在庫を削減する
固定資産回転率
固定資産回転率とは、固定資産がどれだけ効率的に売上高を生み出しているかを表す指標です。
固定資産回転率 = 売上高 ÷ 固定資産
単位は「回転数」で表され、数値が大きいほど、固定資産を効率的に活用できていることになります。固定資産回転率が高いということは、固定資産が短期間で売上高を生み出しているということになります。そのため、固定資産回転率が高い企業は、設備投資を有効に活用して、利益を上げていると言えます。
固定資産回転率は、業種によっても異なります。例えば、製造業は設備投資が大きいため、固定資産回転率が低くなりがちです。一方、小売業やサービス業は設備投資が少なく、固定資産回転率が高くなりやすい傾向があります。
固定資産回転率を改善するためには、以下のような取り組みが挙げられます。
- 設備の稼働率を上げる
- 設備の老朽化を防止する
- 設備の効率化を図る
これらの指標は、企業の経営効率を把握する上で重要な指標です。定期的に確認して、経営の改善に役立てましょう。
回転期間について
回転期間とは、ある資産や負債が1回転するのにかかる期間を表す指標です。計算式は以下のとおりです。
回転期間 = 資産や負債の回転率の逆数
例えば、売上債権回転率が3回転の場合、回転期間は365日 / 3 = 121.67日となります。これは、売上債権が1回転するのに約121.67日かかるということです。
回転期間は、以下のような指標に分類されます。
- 資産回転期間
- 売上債権回転期間
- 棚卸資産回転期間
- 固定資産回転期間
- 負債回転期間
- 仕入債務回転期間
- 借入金回転期間
- 総資産回転期間
回転期間は、企業の経営効率を把握する上で重要な指標です。回転期間が短いということは、その資産や負債が効率的に活用されているということです。例えば、売上債権回転期間が短いということは、売上債権が短期間で回収されているということです。そのため、資金繰りが良好であると言えます。また、回転期間は、業種によっても異なります。例えば、小売業は売上債権の回収期間が短いため、売上債権回転期間が短くなりやすい傾向があります。一方、製造業は売上債権の回収期間が長いため、売上債権回転期間が長くなりがちです。
回転期間を改善するためには、以下のような取り組みが挙げられます。
- 売上債権回転期間を改善する
- 売掛金の回収期間を短くする
- 売掛金の割引率を下げる
- 売掛金の与信管理を強化する
- 棚卸資産回転期間を改善する
- 需要予測の精度を上げる
- 在庫管理を強化する
- 不良在庫を削減する
- 固定資産回転期間を改善する
- 設備の稼働率を上げる
- 設備の老朽化を防止する
- 設備の効率化を図る
これらの指標は、企業の経営効率を把握する上で重要な指標です。定期的に確認して、経営の改善に役立てましょう。
回転期間の改善について
以下に、回転期間の改善例をご紹介します。
売上債権回転期間の改善
- 売掛金の回収期間を短くするために、売掛金の割引率を下げる。
- 売掛金の与信管理を強化するために、取引先の信用状況を定期的にチェックする。
棚卸資産回転期間の改善
- 需要予測の精度を上げるために、データ分析を活用する。
- 在庫管理を強化するために、在庫管理システムを導入する。
- 不良在庫を削減するために、入荷検査を徹底する。
固定資産回転期間の改善
- 設備の稼働率を上げるために、設備の故障を未然に防ぐ。
- 設備の老朽化を防止するために、設備の定期的な点検・修理を行う。
- 設備の効率化を図るために、最新の設備を導入する。
これらの取り組みを実施することで、回転期間を改善し、企業の経営効率を向上させることができます。
回転期間の参考基準について
業種別の回転期間の指標について、以下が参考になります。
業種 | 売上債権回転期間 | 棚卸資産回転期間 | 固定資産回転期間 | 備考 | 参考資料 |
小売業 | 約20日 | 約60日 | 約10年 | 商品の回転率が高いため、売上債権回転期間と固定資産回転期間は短い。 | 中小企業庁「業種別主要計数表」 |
卸売業 | 約30日 | 約90日 | 約10年 | 小売業と同様に、商品の回転率が高いため、売上債権回転期間と固定資産回転期間は短い。 | 中小企業庁「業種別主要計数表」 |
製造業 | 約60日 | 約90日 | 約20年 | 商品の回転率が低いため、売上債権回転期間と棚卸資産回転期間は長い。 | 中小企業庁「業種別主要計数表」 |
サービス業 | 約30日 | 約120日 | 約10年 | 商品を販売する業種と異なり、サービスを提供し、その場で代金を受け取る業種が多いため、売上債権回転期間は短い。 | 中小企業庁「業種別主要計数表」 |
また、業種によっては、回転期間が大きく異なる場合があります。例えば、食品卸売業は、商品の回転率が非常に高く、売上債権回転期間は約10日程度と、他の卸売業よりも短い傾向があります。
回転期間は、業種によっても異なるため、比較する際には注意が必要です。
企業事例について
企業情報
ある製造業企業の、2022年3月期の財務諸表は、以下のとおりです。
項目 | 金額 |
売上高 | 100億円 |
売上債権 | 30億円 |
棚卸資産 | 20億円 |
固定資産 | 50億円 |
企業情報から見える評価
売上高は100億円と、同業他社と比較して高い水準にあります。しかし、売上債権と棚卸資産がそれぞれ30億円と20億円と、売上高に対して比較的大きいため、資金繰りや在庫管理の改善が求められます。
売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、固定資産回転期間の分析結果
売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、固定資産回転期間の分析結果は、以下のとおりです。
項目 | 計算式 | 計算結果 |
売上債権回転期間 | 365日 / 売上債権回転率 | 365日 / 3.33 = 111.69日 |
棚卸資産回転期間 | 365日 / 棚卸資産回転率 | 365日 / 2 = 182.5日 |
固定資産回転期間 | 365日 / 固定資産回転率 | 365日 / 5 = 73日 |
指標から見える改善点
売上債権回転期間は、同業他社と比較して平均的な水準ですが、さらに短縮することで、資金繰りの改善が期待できます。棚卸資産回転期間は、同業他社と比較して長い水準です。棚卸資産の削減によって、資金の有効活用や利益率の向上が期待できます。固定資産回転期間は、同業他社と比較して短い水準です。設備の老朽化や稼働率の低下がないか、確認が必要です。
改善策
売上債権回転期間の改善策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 売掛金の回収期間を短縮する
- 売掛金の割引率を下げる
- 売掛金の与信管理を強化する
棚卸資産回転期間の改善策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 需要予測の精度を上げる
- 在庫管理を強化する
- 不良在庫を削減する
固定資産回転期間の改善策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 設備の稼働率を上げる
- 設備の老朽化を防止する
- 設備の効率化を図る
改善策の実行前後の評価
売上債権回転期間の改善策を実行した結果、売上債権回転期間は90日まで短縮されました。棚卸資産回転期間の改善策を実行した結果、棚卸資産回転期間は150日まで短縮されました。売上債権回転期間と棚卸資産回転期間の改善により、資金繰りが改善され、利益率の向上が期待できます。
本事例では、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、固定資産回転期間の分析結果から、改善点を洗い出し、改善策を実行することで、回転期間の改善に成功しました。
まとめ
回転期間とは、ある資産や負債が1回転するのにかかる期間を表す指標です。回転期間が短いほど、その資産や負債が効率的に活用されていることになります。
回転期間の改善は、企業の経営効率を向上させる上で重要な施策です。回転期間を改善することで、以下のメリットが期待できます。
- 資金繰りの改善
- 利益率の向上
- 固定資産の有効活用
回転期間を改善するためには、以下の取り組みが挙げられます。
- 売上債権回転期間の改善
売掛金の回収期間を短縮する、売掛金の割引率を下げる、売掛金の与信管理を強化する - 棚卸資産回転期間の改善
需要予測の精度を上げる、在庫管理を強化する、不良在庫を削減する - 固定資産回転期間の改善
設備の稼働率を上げる、設備の老朽化を防止する、設備の効率化を図る
企業は、定期的に回転期間を分析し、改善策を検討することが重要です。