CVP分析‐経営判断に役立つ3つの指標「損益分岐点、限界利益、安全余裕率」

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CVP分析とは、Cost(費用)、Volume(数量)、Profit(利益)の3つの要素の関係を分析する手法です。企業の損益構造を把握し、利益を最大化するための経営判断を行うために役立ちます。

CVP分析では、以下の3つの要素を前提とします。

  • 固定費は一定である
  • 変動費は数量に比例して変化する
  • 販売単価は一定である

これらの前提に基づき、以下の3つの指標を計算します。

  • 損益分岐点:売上高が変動費と固定費を合わせた金額で利益も損失も発生しない時点
  • 限界利益率:売上高から変動費を差し引いた限界利益が、売上高全体に占める割合を示す指標
  • 利益関数:利益を数量で表した関数
目次

損益分岐点について

損益分岐点とは、固定費を回収するために必要な販売数量のことです。損益分岐点以下では利益はゼロとなり、損益分岐点を超えると利益が生じるようになります。

損益分岐点は、以下の計算式で求められます。

損益分岐点 = 固定費 / 限界利益率

限界利益率とは、1単位の販売による利益のことです。限界利益率は、以下の計算式で求められます。

限界利益率(%) = 限界利益 ÷ 売上高 × 100

変動費率とは、1単位の販売に伴う変動費の割合のことです。変動費率は、以下の計算式で求められます。

変動比率(%) = 変動費 ÷ 売上高 × 100

損益分岐点の活用

損益分岐点は、以下の目的で活用することができます。

  • 利益計画の立案
    損益分岐点を用いることで、企業は損益分岐点を超える販売数量を達成するために必要な販売価格や販売数量を算出することができます。
  • 販売価格の設定
    損益分岐点を用いることで、企業は損益分岐点を超える販売価格を算出することができます。
  • 生産量の決定
    損益分岐点を用いることで、企業は損益分岐点を超える生産量を算出することができます。
  • コスト削減の検討
    損益分岐点を用いることで、企業は損益分岐点を超えるために必要なコスト削減額を算出することができます。

注意点

損益分岐点を用いる際には、以下の点に注意が必要です。

  • 固定費や変動費率は一定であるとの前提です。しかし、実際の経営状況では、固定費や変動費率は変動します。そのため、損益分岐点の計算結果はあくまでも参考程度に利用する必要があります。
  • CVP分析は、単純なモデルに基づく分析です。そのため、企業の事業内容や経営環境によっては、実際の経営状況と異なる結果となる可能性があります。

損益分岐点は、企業の経営判断をサポートするための有効なツールです。しかし、前提条件や注意点を理解した上で、適切に活用することが重要です。

以下に、損益分岐点の活用例をいくつか示します。

  • 新製品の販売を開始する際に、損益分岐点を用いて、損益分岐点を超える販売数量を算出することができます。これにより、企業は新製品の販売目標を設定することができます。
  • 販売価格を変更する際に、損益分岐点を用いて、損益分岐点を超える販売価格を算出することができます。これにより、企業は販売価格の変更による利益への影響を検討することができます。
  • 生産量を増やす際に、損益分岐点を用いて、損益分岐点を超える生産量を算出することができます。これにより、企業は生産量の増加による利益への影響を検討することができます。
  • コスト削減を検討する際に、損益分岐点を用いて、損益分岐点を超えるために必要なコスト削減額を算出することができます。これにより、企業はコスト削減による利益への影響を検討することができます。

損益分岐点は、企業の経営判断に役立つ重要な指標です。

安全余裕率について

安全余裕率とは、実際に得られた売上高が損益分岐点売上高をどのくらい上回っているかを表す指標のことです。損益分岐点売上高とは赤字を回避するうえで最低限達成すべき売上金額を意味します。つまり安全余裕率とは損益分岐点と売上高の間にある黒字部分の割合であり、経営の余裕度合いを表しています。

安全余裕率の計算式は、以下のとおりです。

安全余裕率 = (現在の売上高 – 損益分岐点売上高) / 現在の売上高

安全余裕率は、以下の2つの方法で求められます。

  • 損益分岐点売上高を計算し、現在の売上高から差し引いて算出する
  • 現在の売上高から損益分岐点売上高を割って算出する

安全余裕率の活用

安全余裕率は、以下の目的で活用することができます。

  • 経営の安定性評価
    安全余裕率が高いほど、経営が安定していることを示します。そのため、安全余裕率を活用することで、経営の安定性を評価することができます。
  • リスク対策
    安全余裕率が低い場合、売上減少によるリスクが高くなります。そのため、安全余裕率を活用することで、リスク対策を検討することができます。

注意点

安全余裕率を用いる際には、以下の点に注意が必要です。

  • 損益分岐点売上高は、固定費や変動費率の変動によって変化します。そのため、安全余裕率の計算結果はあくまでも参考程度に利用する必要があります。
  • CVP分析は、単純なモデルに基づく分析です。そのため、企業の事業内容や経営環境によっては、実際の経営状況と異なる結果となる可能性があります。

安全余裕率は、企業の経営判断をサポートするための有効なツールです。しかし、前提条件や注意点を理解した上で、適切に活用することが重要です。

以下に、安全余裕率の活用例をいくつか示します。

  • 新製品の販売を開始する際に、安全余裕率を用いて、新製品の販売目標を設定することができます。安全余裕率が低い場合、新製品の販売目標を抑えめに設定する必要があるでしょう。
  • 販売価格を変更する際に、安全余裕率を用いて、販売価格の変更によるリスクを検討することができます。安全余裕率が低い場合、販売価格の変更によって赤字になるリスクが高くなります。
  • 生産量を増やす際に、安全余裕率を用いて、生産量の増加によるリスクを検討することができます。安全余裕率が低い場合、生産量の増加によって赤字になるリスクが高くなります。
  • コスト削減を検討する際に、安全余裕率を用いて、コスト削減によるリスクを検討することができます。安全余裕率が低い場合、コスト削減によって赤字になるリスクが高くなります。

安全余裕率は、企業の経営判断に役立つ重要な指標です。

企業事例

ある企業の売上高は1000万円、総費用は600万円でした。総費用のうち、固定費は400万円、変動費は200万円と推定されます。

損益分岐点の計算

損益分岐点は、以下の計算式で求められます。

損益分岐点 = 固定費 / 限界利益率

限界利益率は、1単位の販売による利益のことです。限界利益率は、以下の計算式で求められます。

限界利益率 = 単価 – 変動費率

この場合、単価は1万円、変動費率は20%と仮定します。

限界利益率 = 1- 0.2 = 0.8

したがって、損益分岐点は以下の計算式で求められます。

損益分岐点 = 400万円 / 0.8 = 500万円

つまり、この企業は、500万円の売上高を達成すれば、固定費を回収し、利益が出始めることになります。

限界利益の計算

限界利益は、1単位の販売による利益のことです。限界利益は、以下の計算式で求められます。

限界利益 = 単価 – 変動費率

この場合、単価は1万円、変動費率は20%と仮定します。

限界利益 = 1万円 – 0.2万円 = 0.8万円

したがって、1単位の販売で8000円の利益が出ます。

安全余裕率の計算

安全余裕率は、実際に得られた売上高が損益分岐点売上高をどのくらい上回っているかを表す指標です。

安全余裕率は、以下の計算式で求められます。

安全余裕率 = (現在の売上高 – 損益分岐点売上高) / 現在の売上高

この場合、現在の売上高は1000万円です。

安全余裕率 = (1000万円 – 500万円) / 1000万円 = 50%

したがって、この企業の安全余裕率は50%です。つまり、売上高が50%減少しても赤字にならないことを意味します。

企業評価

この企業の安全余裕率は50%と高く、経営が安定していると評価できます。しかし、売上高が50%減少すると赤字になる可能性があるため、売上減少によるリスクには注意が必要です。

実際には、固定費や変動費率は一定ではなく、変動する可能性があります。そのため、損益分岐点、限界利益、安全余裕率を計算する際には、これらの変動を考慮する必要があります。また、CVP分析は、単純なモデルに基づく分析であるため、企業の事業内容や経営環境によっては、実際の経営状況と異なる結果となる可能性があります。

まとめ

損益分岐点、限界利益、安全余裕率は、企業の経営判断に役立つ指標です。
損益分岐点は、固定費を回収するために必要な売上高です。損益分岐点を超えると利益が出始めます。
限界利益は、1単位の販売による利益です。限界利益を計算することで、利益率を把握することができます。
安全余裕率は、実際に得られた売上高が損益分岐点売上高をどのくらい上回っているかを表す指標です。安全余裕率が高いほど、経営が安定していると評価できます。
これらの指標を活用することで、企業は以下の判断を行うことができます。

  • 利益計画の立案
  • 販売価格の設定
  • 生産量の決定
  • コスト削減の検討

ただし、これらの指標は、固定費や変動費率が一定であるとの前提に基づくものであり、実際の経営状況とは異なる結果となる可能性があります。そのため、これらの指標を活用する際には、注意が必要です。

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この記事を書いた人

人事系コンサルで頑張っている者です。
毎日全力で突っ走ってます!!

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