労働基準法 第39条4項(年次有給休暇の時間単位の取得)

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条文

4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項

時間単位の年次有給休暇とは

1日単位で継続又は分割した日数で取得する年次有給休暇の本来の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、年次有給休暇について5日の範囲で時間単位として与えることができる制度をいいます。なお、本制度を適用するには労使協定の締結が必要です。

時間単位で取得できる日数について

時間単位で取得することができる年次有給休暇は、前年度からの繰り越し日数分も含めて5日の範囲内とされています(平21.5.29基発0529001号)。なお、1日分の年次有給休暇に対応する時間数は所定労働時間数を基に定めることになりますが、所定労働時間数に1時間に満たない時間数がある場合は、労働者にとって不利益とならないように、1時間に満たない時間数を時間単位に切り上げることとされています(平成21年5月29日052001号)。そのため、分単位など時間未満の単位は認められません。

また、1日の所定労働時間数が日によって異なる場合は、1年間における1日平均所定労働時間数となります。

時間単位年休に支払われる賃金額について

時間単位年休1時間分の賃金額は、

①平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③標準報酬日額(労使協定が必要)

をその日の所定労働時間数で割った額になります。
①~③のいずれにするかは、日単位による取得の場合と同様にし、就業規則に定めることが必要になります。

労使協定の締結について

実際に時間単位年休を導入する場合には、就業規則の定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、労使協定を締結する必要があります。この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

なお、労使協定で定める項目は次のとおりです。

①時間単位年休の対象者の範囲
対象となる労働者の範囲を定めます。一部の者を対象外とする場合には、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。年次有給休暇をどのように利用するかは労働者の事由となりますので、利用目的によって時間単位の年次有給休暇の対象労働者を定めることはできません(平21.5.29基発0529001号)。
そのため、「育児を行う労働者」など、取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。

②時間単位年休の日数
1年5日以内の範囲で定めます。

③時間単位年休1日分の時間数
1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。1時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げます。
(例)所定労働時間が1日7時間 30 分の場合は8時間となります。

④1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数
2時間単位など1日の所定労働時間を上回らない整数の時間を単位として定めます。

時間単位の年次有給休暇の時季変更権について

時間単位の年次有給休暇も、事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者の時季変更権の対象となりますが、その年次有給休暇を1日単位で取得するか時間単位で取得するかは労働者の自由となります。したがって、労働者が時間単位による取得を請求した場合、日単位に変更することや、日単位による取得を請求した場合に、時間単位に変更することは時季変更に当たらず認められないことになります。また、年次有給休暇の計画的付与として、時間単位の年次有給休暇を付与することも認められません(平21年5月29日基発0529001号)

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この記事を書いた人

人事系コンサルで頑張っている者です。
毎日全力で突っ走ってます!!

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