資金使途-運転資金、設備資金、個人消費資金の違いとは?

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金融機関から融資を受ける際に、必ずお金の使い方を確認されます。
そのお金の使い方を「資金使途」といいます。
金融機関からすると、貸したお金が適切に運用されず、回収できない事態は必ず避けなければなりません。
「資金使途」は基本的な確認事項になりますので、融資申込者はその資金使途の確認書類の提出が求められることが一般的になります。
なお、資金使途は大きく分けて事業性資金個人消費資金に分けられます。

目次

事業性資金-運転資金と設備資金とは?

資金使途は、事業性資金についても運転資金設備資金に分けられます。
運転資金は事業運営のために必要な資金をいいます。
活動を順調に進めていくために、資金は重要な経営資源となります。

運転資金の種類について

金融機関では運転資金を概ね以下のように分けています。
①経常運転資金
②増加運転資金
③減少運転資金
④季節運転資金
⑤設備未払金決済運転資金

経常(所要)運転資金

企業はその事業活動をする上で、経常的に資金が必要になります。
これを経常運転資金といい、以下の式で計算できます。

(売掛金+受取手形+棚卸資産)-(買掛金+支払手形)

この差額は、商品売買において立て替えをしている金額を指し、自己資金で賄えない場合は、金融機関などから資金調達を行う必要があります。
金融機関としても経常運転資金は裏付けのある資金であるため、比較的貸付に説明が付きやすい資金になります。

増加運転資金

増加運転資金とは、売上が増えることで追加で必要になる資金をいいます。
売上が増えると人件費や仕入代金が増えるため、売上が回収できるまでの間にその増加した分の費用に充てる資金が必要になります。
売上が伸びている上での資金調達となるため、金融機関も前向きに検討してくれますが、急激に金額が増える場合などはあらかじめ相談をすることが望ましいです。

減少運転資金

減少運転資金とは、売上が減少している状況で過去の仕入代金を支払う場合で手元資金が足りない場合に生じる資金になります。
増加運転資金とは、反対の状況となりますので、売掛債権と買掛債務の差を踏まえて円滑な資金繰りとなるように資金調達を行う必要があります。
前向きな資金ではないため、場合によっては金融機関から協力を得られない場合もあります。
そのため、自己資金で賄えない場合は、明確な事業計画を作成して金融機関へ十分説明をする必要があります。

季節運転資金

企業によっては毎年特定の時期に資金需要が発生します。
季節運転資金は、例えば、アパレルのように季節によって商品を一括で仕入れる場合に発生します。
年間の売上入金と仕入支払が季節によって変動する場合は、自己資金だけでは十分な資金を賄えないことも考えられます。
そのため、金融機関から資金調達を行い、円滑な資金繰りを保つ必要があります。
なお、この季節性運転資金の調達は季節ごとに発生するため、1年以内の返済となる契約とすることが一般的です。
また、業績に応じて賞与を支払う場合に、夏や冬などの賞与の資金として借入をするケースも考えられます。

設備未払金決済運転資金

機械設備などを購入する資金は、設備資金として取り扱われることが原則になります。
一般的には、設備資金は資金使途が明確になっているため、運転資金より金利面などの条件が優遇されることが多くなります。
しかしながら、設備を購入するための資金手当てが完了せず、一部支払いが残ってしまう場合もあります。
この場合、設備を購入して半年以内であれば、設備投資として優遇された条件で資金調達を行うことが可能となります。
ただし、半年を経過してしまうと設備投資とはみなされずに運転資金としての資金調達として金融機関からは判断されます。
つまり、設備投資資金が不足した場合は、設備未払金決済運転資金となる前に、設備資金の調達をするように努めることが望ましいことになります。

設備資金とは?

設備資金とは、土地・建物、機械などの購入資金をいいます。
また、本社ビルや工場の新設資金なども設備資金に該当します。
設備資金の借入は高額になるため、1年以上の長期借入になることが一般的です。
設備資金として掛けたコストは、すぐに結果が出るとも限りません。
そのため、適切な返済期間を設定することで、資金繰りを円滑にする必要があります。

個人消費資金とは?

個人消費資金は住宅ローン、マイカーローンなどの対象範囲がそれぞれ定められているものや資金使途が自由とされているカードローンやフリーローンなどがあります。
ただし、カードローンやフリーローンについては、事業性資金として利用することを制限されている場合がありますので、個人事業主の方は注意が必要です。(いわゆる資金の転貸の禁止になります。)

まとめ

金融機関から融資を受ける際には、その資金を何に使うかが重要になります。
銀行に説明した資金使途と異なる内容で資金を使用した場合は、資金使途違反となります。
金融機関によっては、資金使途違反をした企業に対してその融資金を一括で返済するように求めることがあります。
また、資金調達は余裕をもって行いたいとの考えはありますが、エビデンス以上の借入を希望すると金融機関から融資を断られる場合もあります。
そのため、事業計画でその資金が真に必要な資金であるか、明確にする必要があります。

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この記事を書いた人

人事系コンサルで頑張っている者です。
毎日全力で突っ走ってます!!

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