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条文
第3条(均等待遇)
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
本条の趣旨
本条は国籍、信条、社会的身分といった労働とは直接関係のない理由での不合理な差別待遇を禁止すべきとする規定になります。憲法第14条1項(法の下の平等)を踏まえ、国籍、信条又は社会的身分を理由とする労働者の差別的取扱を禁止したものです。
差別的取扱とは
差別理由は、国籍、信条又は社会的身分に限定されています。労働基準法制定時の女性保護と引き替えに、労働条件における性差別を禁止しなかったため、本条では性別を理由とする差別的取扱いは禁止されていません。
ただし、賃金については第4条にて性差別が明確に禁止されており、現在は男女雇用機会均等法によって、その他の労働条件についても差別的取扱いが禁止されています。
信条・社会的身分とは
信条とは、特定の宗教又は政治的信念のことになります。
社会的身分とは、生来の身分のことをいいます。会社での地位など後発的理由による地位は含まないと考えられます。
●三菱樹脂事件 最高裁 昭48.12.12判決
企業者は契約締結の自由を有し,自己の営業のために労働者を雇用するにあたり,いかなるものを雇い入れるか,いかなる条件でこれを雇うかについて,法律その他による特別の制限がない限り,原則として自由にこれを決定することができるとした事案です。
本条が禁止するのは、現に労働契約を締結した雇入れ後の一切の待遇になります。そのため、企業者が特定の思想,信条を有する者をその理由をもって雇い入れることを拒んでも,それを当然に違法とすることはできないとされています。